煩悩baby

僧侶による ソウルフルな あいうえお

昨日、人生で初めて「風の谷のナウシカ」をみた

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昨日、人生で初めて「風の谷のナウシカ」を観た。

 

いま東京で、友人の家に一日200円の家賃で居候している。ワンルームに男二人で暮らしている。

その友人がおもむろに「俺は今から録画していたナウシカを観る」と言い出した。

 

僕は生まれてこのかた26年間、ナウシカを観たことがない。「アニメ好きだ」とかよく言っているわりに、ナウシカ童貞だったのだ。

世の中には「実は観ていない作品」がたくさんある。

例えば、スターウォーズシリーズは一つも見たことがないし、ドラゴンボールもほとんど観たことがない。

「なぜ観ないのか?」と言われても明確な答えはないが、理由を挙げるとするならば

・有名タイトルすぎて今更手を出しづらい

・観ろという圧力に対して反逆するロック精神

こんなものだろうか。

 

しかし、この社会はそんな童貞を温かく迎えてはくれない。

あたかも、こちらがスターウォーズを知っているかのような空気を押し付けてくるのだ。

 

「稲田くんは、スターウォーズを公開順から観る派? それとも時系列順で観る派?」

 

知らない。童貞に騎乗位が好きなのか、正常位が好きなのかきくようなものだ。

でも、盛り上がっている空気を乱すのが苦手な僕がやってしまうのは、

 

「公開当時の自分の気持ちを振り返りたいので、公開順ですね〜。やっぱり思い出フィルター以上の調味料はないっすよ!」

 

こういう非童貞のフリだ。これが、wikipedia童貞である。

wikipediaの知識だけで観たことがあることにする。

素人童貞が「俺は童貞ではない」と言うくらい、浅ましい。「公開当時の気持ちってお前今何歳だよ」と突っ込みたくなる。

 

ナウシカの話題になった時は少し玄人目線で、

「漫画版の方がハードな内容で好きだわ〜」と言う。もちろん漫画版も読んだことない。

 

そんなナウシカwikipedia童貞だった僕。

思い切って、同居人に「ナウシカ、観たことがないんだけど」と言ってみた。

同居人は「お前のナウシカ童貞を奪えるのか」と言って興奮していた。痴女のようだった。

 

人生初のナウシカ。観終えた後、虚無感に襲われた。

なぜ今までナウシカを観なかったのか。自分のバカさが浮き彫りになった。

 

ストーリーは想像以上にハードだった。他のジブリのどの作品よりも、戦闘のスリルを、戦争の悲惨さを描いていた。

構造は「もののけ姫」とほとんど一緒だった。文明の力に依存するエゴい人間 VS 自然。だけど、王蟲はシシガミ様よりも対話の可能性を残していた。シシガミ様の方が圧倒的な自然の暴力を象徴している。王蟲の方がロマンチックで好みだ。

場面展開が激しかった。登場人物が移動しすぎている。展開を追うので必死だった。巨神兵も出てきて「盛り上げ要素、多〜〜〜〜〜!」と思った。エキサイティングすぎる。

何よりもナウシカが最高だった。自己犠牲に溢れる女だった。母性が溢れていた。おっぱいが大きかった。ジブリキャラの中では、これまではシータが一番だった。そんな2時間30分前の自分を恥じた。磯山さやかを知らず、MEGUMIで満足していた中1の自分のようだ。ナウシカが一番良い。

 

こんな感想を同居人に熱烈に語っていると、「今さら何言ってんの?」と笑われた。

たしかに今更すぎる。でも、往年の超名作を大人になった今の完成で鑑賞できるのは、幸せなことだと思った。

「実は観たことがない作品」「観たことがないのに観たことにしている作品」は観た方がいい。間違いなく。