煩悩baby

僧侶による ソウルフルな あいうえお

終わったはずの「甲子園の青春」を、文化系運動音痴が取り戻しにいく話

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平成最後の夏とともに、記念すべき第100回目の甲子園も終わりを告げた。

そのとき、「面白法人カヤック」と名乗る会社から来た突然のメール。

f:id:andymizuki:20180824162810j:plainあなただけの専用甲子園?
ドラマチックバッティングセンター?

 

・・・トクン(高鳴る胸)

 

ロマンを感じないのが、大人だというなら、
俺は一生、子どものままでいい。
それが俺のモットーだ。

チョ待てよ、平成。
俺、もう今年で27歳だけど、やり残したこと、あんだよ。

 

俺・・・

 

甲子園のバッターボックスに立って、青春を取り戻したいです!!!!!!

 

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア(響き渡る甲子園のサイレン)

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※この記事は面白法人カヤックの提供でお送りします。
 

 

 

15年ぶりくらいにバッティングセンターにきた

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呼ばれるがままに、バッティングセンターに来た。

運動音痴・文化系ライターが、ヨソ行きのスポーツウェアなど、持っているはずがない。
浮かれたシャツと、ニット帽で臨ませてもらう。

 

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一目瞭然だとは思うが、ドラマチックさの欠片もない。

「本当にこんな田舎のバッセンで俺の青春を取り戻せるのか?」

不安に思った。
どうもカヤック俺の青春の重みを舐めているにちがいない。

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運動音痴
それは、学生時代において「モテない」「イケてない」「セックスできない」を体現する焼印(スティグマ)であった。

体育の時間に野球をする際も、「俺、野球とかルールわからないんですよ〜〜」と言って、「文化系ピエロ」を演じる他なかった。

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スイング練習。こんなに威厳のないバッティングフォームを観たのは自分でも初めてである

本当は、野球が大好きだった。
ルールを知らないはずなんてない。
プロ野球高校野球もずっと見ていた。

でも、知らないふりをするしかなかった。
好きだといえば、上手いんじゃないかと期待される。
そして、「好きなくせに下手なんだ」と囃されてしまう。
甲子園なんて、夢のまた夢のまた夢だ。

こんなに待ち望み続けた「青春」を、本当にカヤックは取り戻してくれるのか?

どうも、カヤックは俺の青春の重みを舐めているにちがいないのだ。(2回目)

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バスタオルを羽織ってイチゴミルクを飲んでいたら「風呂上がりか!」とカメラマンに言われた。何が可笑しい。

 

 

バッターボックスに立ってみた

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「体験者、稲田さん入りまーす」

係員の誘導に合わせて、半信半疑でバッターボックスに入ろうとした、そのとき。

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マネージャー「青木くん!そんな体じゃ、無茶よ!」
青木くん「離せ!」

 

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マネージャー「あっ……!」

 

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「なんか始まった。」

目の前で繰り広げられる謎の小芝居にただ呆然とする俺。
すると、続けて後方から、

 

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女「これで安心ね。ズイキちゃんも野球なんかやめて勉強に専念してくれるわ」
男「そうだな。あいつにはこれから最高の教育環境を与えてやる。これで稲田財閥も安泰だ」

 

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"ズイキちゃん(俺の下の名前)" "稲田財閥" ……。
聞きなれない言葉が並ぶが、おそらく俺の父母ということなのだろう。
とりあえず、悪役であることだけはわかる。

 

すると、前方で青木くんが心配するマネージャーを振り切り……

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バッターボックスに立つ。でも、結局……

 

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倒れてしまった。

 

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ちょっと待って、俺、何見せられてんの??

察するに、小芝居でストーリーをつくって、ここぞという場面で、俺に打席に立たせようとする魂胆なのであろう。
ドラマチックバッティングセンターってそういうことかよ。

とはいえ、俺も今年で27歳になる。
そんな小芝居一つで、心を動かすほど、やわな人生を歩んできちゃいない、はずであった。

 

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チームメイト「青木!」
マネージャー「青木くん!」

 

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監督「なんでこんなになるまで黙ってたんだ!」
マネージャー「すみません!」

 

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監督「残念だが、もう試合を棄権するしかない…」

僕「(おいおい、これ、”あの流れ”じゃん……)」

 

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メンバー「こんなときに、稲田がいてくれたら……」
マネージャー「稲田くん……」

 

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(やっぱそれだよね……)

 

すると、後ろから再びあの夫婦が……

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母「ほら、ズイキちゃん、早く帰るわよ」
父「こんな土臭い連中と仲良くしても意味がない、帰るぞ」

ちょっと待って、青木くんが何か言いたそうで、、

 

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青木くん「……稲田!お前しかいないんだ!」

 

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(トクンッ)

俺しか…いない……

俺は文化系で、運動音痴で、童貞で、そんな俺なのに……。
みんな、俺を頼ってくれるのか……。
俺を待ってくれているのか……。

 

母「ほら何してるの、早くママと美味しいお寿司食べにいきましょ」

・・・

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「……行かない」
「え?」

 

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「俺が……」

 

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「俺が打つ!!!!!!」

言ってしまった。
いや、言うしかなかった。
場の空気も勿論そうだけど、この先にずっと待ち望み続けた「青春」がある気がしたのだ。

 

青木くん「よお、遅かったじゃねぇか」

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「あとは頼んだぜ、稲田。」

 

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「ああ、任せろ」

 

(なにこれ、楽しい……////)

すると、マネージャーが……

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マネージャー「稲田くん!」

 

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「甲子園、連れていってね」

 

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本気で照れちゃうやつ。

「わかった!連れていく!連れていくから!」

 

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帽子とユニフォームをマネージャーに着せてもらう。
明らかに場違いだったニット帽は捨て去った。
髪型だけは、立派な野球部である。

 

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青木くん「絶対打てよ、ホームラン」
俺「ああ、任せろ」

(ヤダァ……ずっと、こういうのしたかった……////)

 

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「よし!」とバッターボックスに立った次の瞬間……

 

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!!!!!!!????

突然、チアリーダー吹奏楽部が入場。

 

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ちょっと待ってちょっと待って、一体何事??

 

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「かっとばせー♪ い・な・だ!」

目の前で生演奏してくれて、自分の名前を応援してくれるだと!!

 

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「やだこれ……嬉しい……////」

 

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この満面の笑みである。

バッターボックスに立つ選手の気持ちがわかった気がした。
応援してもらえて、たしかに嬉しい。でもその分だけ感じるのは「責任」である。

もちろん演技だとはわかっているが、不思議と「打たないとマジで申し訳ない」という気持ちになってくるのだ。

いざ、皆の期待を背負って!勝負!

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俺専用実況者と、俺専用ウグイス嬢が、会場を盛り上げる。

 

バッターボックスで「シャァ!」と吠える姿は、野球部そのもの。
そこに、かつての文化系運動音痴の姿はない。

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(想像できるか稲田……高校生の17歳の稲田よ……)

 

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(お前は10年後、たくさんの仲間に支えられている。こんなに可愛い女の子がお前が起こす奇跡を待っているんだ)

 

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(なぁ、稲田。人生は捨てたもんじゃねぇぞ。いつだって青春は取り戻せるんだ。)

 

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(スイング一つで、人生は変わるのさ……)

 

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(こんな風に……)

 

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(あれ……?)

 

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ボールが前に飛ばない……!

 

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ちゃうちゃう!思ってたんとちゃう…!

 

結果

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ボテボテのセカンドフライ。
俺はチームの危機を救うことができなかった。

 

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やめろよ、そんな顔で俺を見るなよ……
急にシビアな成果主義になるのやめろよ……

 

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思えば、そうだった。
甲子園でスポットが当たるキラキラとした活躍の裏には、はるかに多くの「やりきれない思い」が存在するのだ。

このほろ苦さも、青春ならではと言えようか。

 

今までの人生からは、決して味わうことのない経験だった。

俺専用マネージャー、俺専用ライバル、俺専用ウグイス嬢に、俺専用実況。
大舞台で味わう期待と責任。
そして、敗北の味。

 

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そうか、これが青春の1ページだったのか……

純白のたま、きょうぞ飛ぶ。
嗚呼 栄冠は君に輝く

ありがとう、甲子園。
ありがとう、カヤック

これで安心して、平成最後の夏を終えることができる……

 

 

 

【宣伝】

この記事の全てが、実際に体験できます。

日程:8月30日(木)
場所:バッティングプラザ大泉(東京都練馬区大泉学園町3-19-13)

応募方法は、
① ぼくポケ公式アカウント(@koshien_pocket)をフォローして、
② #あなた専用甲子園 #参加希望 とツイートするだけ
(詳細はこちらから https://koshien-pocket.kayac.com/100th/event/ )

イベントまで日にちが差し迫ってます!

あの日夢見た青春、叶わなかった甲子園。
平成最後の夏に、すべて取り戻しましょう。

 

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でも、やっぱりこっちの方が落ち着くよね。(バッセンのゲームセンターにて)

 

 

書いた人:稲田ズイキ


写真:Masayuki Hirota